こんにちは、こんばんは。蓮実豪です。
今回は鉛筆を使用して風景画を描くために必要な「道具・鉛筆表現・手順・コツ」についてまとめていきたいと思う。
「鉛筆画をこれから始めたい方、描いたことはあるけどあまりパッとしない方」などに向けて、実際に1枚の風景画を完成させるまでの全工程を解説していこうと思う。
使う道具もシンプルなので、初めての方でも気軽に挑戦できる内容になっている。
さて、今回 描く風景画はこちら。

鉛筆で風景画を描く際に必要となる道具
ここでまとめていくのは、私が実際に使用している道具の一覧である。
これだけでも様々な表現が可能なので参考にして欲しい。
① 必要な道具一覧
メインで必要な道具はこちらの6つである。
鉛筆、紙、練り消しゴム、通常の消しゴム、ティッシュ、擦筆
鉛筆の濃さについては後述するが、これらの道具があれば十分に風景画を描くことができる。

② 鉛筆の種類
鉛筆は三菱とステッドラーのものを使用したことがあるが、どちらも問題なくなめらかに描くことができる。
今の私のメインは三菱だが、どちらでも構わないし、その他のメーカーのものでも構わないと思う

※注意点として、百均のものは良くない。
というのも、使用した感触として「紙を痛めているような引っ掛かりを感じること」と「黒鉛の乗りが悪い」ためである。
次に鉛筆の濃さをどうするのかについてである。
鉛筆には*[〜5H、4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B〜]といった様々な濃さがある。
(実際には5Hよりも薄い(硬い)ものや5Bより濃い(柔らかい)ものもある)
HはHard、FはFirm、HBはHard&Black、BはBlackのことである。
上の*で左にいくほど色が薄くなり、右に行くほど濃くなる。
H系は芯が硬いため黒鉛が削れにくく薄くなり、それとは反対に、B系は芯が柔らかいため黒鉛が削れやすく濃くなるのだ。
そして、どの硬さが必要かについてでるが、私自身は2H、F、3Bの3本をよく使用している。
人によって、3Bしか使わない人や、10Bといった非常に柔らかいものを使用する人など様々であるが、私は2H、F、3Bの3本が一番バランスが取れているのではないかと思っている。

③ 紙の種類
紙の種類についてだが、紙は大きく分けて細目、中目、荒目の3つのタイプがある。

・荒々しい印象にしたい場合→荒目
・バランスの良い画風にしたい場合→中目
といった感じだ。
私はバランスを重視して中目を使用している。
ざまざまな企業からあらゆる紙が販売されてるが、メーカーにこだわりはない。
基本的に好きな紙を使用して良いが、コピー用紙のような凹凸のない紙はおすすめしない。
というのも、紙には凹凸があり、その凹みに黒鉛がどれくらい入り込むかで表現の幅が広がるのだが、コピー用紙のように凹凸がない紙だと表現の幅が狭まってしまうためである。
鉛筆での風景画の描き方:マスターすべき7つの表現技法
1枚の風景画の中には様々な鉛筆表現が含まれている。
手順に入る前に、使用される表現技法をまとめておきたい。
① 鉛筆の側面を利用した塗り
鉛筆の側面を利用して塗る技法。
この技法の特徴は
「広い範囲を早く塗れる・柔らかい印象の塗りである・紙の凹凸を傷つけない」
といったところである。
主に制作の序盤で「全体に色を置く、全体の印象を捉える」際に多く使用する技法になる。
② ティッシュを利用した擦り
鉛筆で塗った箇所をティッシュで擦る技法である。
この技法の特徴は
「明度を下げる(暗くする)こと・広い範囲をぼかせること」
である。

影となる箇所に使用したり、周りこんだ奥の縁を擦ることで奥行きが出たりする。
なお、擦る際は下の画像のようにティッシュは使用している。
擦る強さは、擦るというより「撫でる」といった方が適切かもしれない。
あまり強く擦ると紙が傷んでしまうため優しく使用する。
注意点として、いたずらに色んな箇所に使用してしまうと画面全体がくすんでしまう。
修正もしにくいため、ここぞ!という箇所に限定して行う。
③ ハッチング技法
鉛筆の先を使用して並行な線を描いていく技法。
この技法の特徴は
「鉛筆の側面で塗るよりも明るく塗れること・塗った面の方向を伝えられること」
である。
ハッチングの方向はまずは面の方向に沿った向きで良い。
面の方向に合わせてハッチングをしてみて、それだけでは単調な場合は影の方向やさらに細かい面などのハッチングを上から重ねていく。
一定の幅で間隔を空けること
できるだけ平行になるようにすること
もちろんフリーハンドなので多少のズレはできるが、少しでも良い線にすることを意識することで、その小さな積み重ねが後々の完成度に影響していく。
④ 1つの面を単調にしない
鉛筆で描く際、1番明るい箇所、1番暗い箇所にはそこまで苦労しない。
しかし、自分ではちゃんと描いたつもりでも、出来上がった絵は思ったほど見応えがないものになったりすることがある。
その一つの原因は中程度の明度が不十分であることが原因かもしれない。
描いている対象をよく観察していくと、自分が一定の明度だと思っていた面でも様々な細かい面や明度が隠れているものである。

余談だが、「暗い箇所はしっかり強く濃く色を乗せましょう」といった言葉をよく耳にする。
これは上限の濃さ(暗さ)を強くすることで中間の濃さの幅が増えて、より複雑な絵を描くことができるようにするためである。
⑤ 細めの濃い線を載せる
これは制作の中盤から終盤にかけて使用するものである。
要は鉛筆を立てて描くというだけのものなのだが、これを行うことによって細かいところを描き込んだり、絵を締まらせることができる。

単に鉛筆を立てれば濃くなると考えるのではなく、筆圧を場所によって使い分けると抑揚のある良い絵になる。
⑥ 鉛筆の角度は3段階
上記のすべて技法を3つの角度で行えるようにしておく。
鉛筆を「完全に寝かせる、立てる、その間」の3つである。
これにより、鉛筆1本でも表現の幅が増え複雑さが増す。
⑦ 擦筆
細かいぼかしを表現するのに打ってつけの道具。
擦筆は
鉛筆で描いた線をぼかすことができたり、
使い込んだ擦筆は、先端に黒鉛が付着しているので、擦筆だけでも白い紙に薄いぼかしを描くこと
ができる。

鉛筆で風景画を描く際の手順
それでは手順に入っていく。
この手順を厳密に守るべきとは思わないが、かといって「自由に好きなように」と言ってしまっては成長につながらないため、自分の中に大体の手順を持っておくことは大切である。
① 主役を決定する
風景のどの部分を主役にするか決めていく。
絵というのは画面の隅から隅までを描き込んだら良くなるのではない。
描き込まないところは描き込まない、描き込むところは描き込む
という感じで密度の差をつけることがコツとなる。
では、どこを一番描き込むのか?
それが主役だ。
なので、まずどこを主役とするのかを決め、それを念頭に置いて進めていく。
構図を決める際は、画面を縦横に3分割した線の交差点に主役を配置する『3分割法』が基本になる。
今回は下から3分の1の位置に主役を持ってきている。
こうすることで収まりが良く、見やすい配置となる。
また、空や砂浜のどちらか一方を広く取りすぎると、面積が広いため、空や地面が主役となってしまう。
そのため、今回は空と地面の面積は同じくらいにしている。
② あたり(下書き)をとる
次にあたりを取っていく。
風景画の場合、まず確認するのはアイレベル(目線の高さ)である。
アイレベルより上のものは下から見上げる、アイレベルよりも下のものは上から見下ろすことになる。
それを意識しながらあたりを取っていく。

③ 光源の確認
次に光源の確認である。
特に室内は光源が複数存在していたりすると思うが、その中でもメインとなる光源は決めていた方が良い。
実際には他の光源と大差がなかったとしてメインの光源を決め、それに合わせて塗っていくことで立体感、空間などを表現することができる(今回は左手前からの光源)。

④ 遠景→中景→近景の順に陰影をつけていく
あたりを参考にして鉛筆を寝かせた状態で陰影をつけていく。
近景:彩度高い、遠景より彩度・明度がはっきりしている、コントラスト強い
中景:遠景と近景の中間
これらを基本に塗っていく。
遠景はほぼ一定の濃さの塗りで良い(コントラストが弱いため)。
しかし、近景はコントラストが強いため、濃いところは濃く、明るいところは明るくしなければならない。
明るいところは一旦塗った後に練り消しで明るくすれば良い。
使用する鉛筆は3Bが基本だが、奥行きはスッキリとFで塗るのもあり。
⑤ 明度の低いところをティッシュで擦る
明度の低いところをティッシュで擦っていく。
明度が低い箇所というのは主に影となっているところのことである。
主に近景、中景の影のところを擦っていく。

遠景に関してだが、今回は日中の絵を描いており、空の色が明るので、擦ってしまうと背景とのコントラストが強くなってしまい奥行きが弱くなってしまうため今回は擦らない(赤丸が擦ったところ)。
⑥ 鉛筆を寝かせた状態の陰影を描き込む
次に鉛筆を寝かせた状態で陰影を描き込んでいく。
遠景は濃くなりすぎず控えめな手数で描き、近景は丁寧に様々な濃さを使って描き込んでいく。
(中景はその中間くらいの描き込み)。
必要に応じて、練り消し・擦筆・ティッシュなどを使用しながら描き込んでいく。
コツとして、あえて描き込まないところを作ったり、コントラストをつけたり、絵の中に様々な抑揚をつけることだ。
⑦ 鉛筆の角度を変えて描きこむ
ここからはひたすら描き込んでいく。
この段階の鉛筆表現はあまり擦らないように描き込む。

描き込みつつも最小限の手数にすることを意識していく。
⑧ 修正&描き込み
最後に足りてない箇所などを加筆修正していく。
主役が主役になっているかを意識しながら自分が満足いくまで向き合う。
鉛筆で風景画をさらに上達させるコツ
さて、完成した絵を見返してみると、絵が固かったり、どこか見応えがなかったりすることがある。
そういったものを解決するコツをまとめておきたい。
なお、これらのコツは風景画に限った話ではないため、その他の様々な絵にも使ってほしい。
① 抑揚をつける
何度か出てきているが、絵の中で抑揚を持たせることが絵を良く見せるコツである。
主役を中心に描き込み、遠景や主役から遠いものなどはあえて描き込まないようにする。
② 焦らず一筆一筆に集中する
昨今は YouTubeやSNSが生活に浸透していてショート動画などで一瞬で絵が完成するところを目にする機会が多くある。
しかし、実際には絵はそれなりに時間がかかる。
焦って適当なことをしてしまうと、そこから絵が崩れ、どうにかしようと無駄な描き込みを行い、その結果、手数が多いだけの見応えのない絵になってしまう。

また、集中に関してだが、
なぜその鉛筆の角度なのか?なぜそのタッチなのか?
など考えながら根拠を持って描いていくと集中や没頭につながる。

③ 常に主役を意識する
絵を描くと画面全体を描き込みたくなるが、絵の主役は案外画面の1部だったりする。
(もちろん全てがそうというわけではない)
その他の脇役は主役を引き立たせることが役割。
主役のためにあえて描き込みを抑える、主役のためにあえて位置を少しずらすなど主役を中心に制作していく意識を持つようにする。
④ いきなり描き始めず観察、実験
描く景色が決まってもいきなり描き出さない。
まずは
「どのような構造になっているのか」
「ここはどのようにして描けば良いか」
など観察と実験を行う。
この一手間で描いている最中の迷いが減り、最終的な完成度が高くなる。
まとめ
① 必要な道具:鉛筆、紙、練り消しゴム、通常の消しゴム、ティッシュ、擦筆
鉛筆は3B・F・2Hがおすすめ、紙は中目がおすすめ
② 風景画を描く際の様々な表現方法
鉛筆の側面での塗り、ティッシュで擦る、ハッチング、一つの面に様々な陰影を描き込める、細く濃い線をかける(筆圧による濃さの使い分けも含む)、鉛筆の角度は3段階、擦筆を使える
③ 手順
主役・主光源の決定→鉛筆を寝かせて描く→ティッシュ→鉛筆を寝かせた状態で描き込む→鉛筆を立てながら描き込む→修正・加筆
④ その他のコツ
抑揚をつける、焦らない、主役を常に意識する、描く前に観察・実験
